【Studio One vs Ableton Live vs Bitwig】各DAWの特徴を比較して違いなどまとめてみた

Studio One

どのDAWを使用するかは曲作りの方向性に大きな影響を与えると思います。使い慣れたDAWを長年愛用するのもありですが、新しいツールを試すことで、制作の幅が広がることもあります。

私はこれまでStudio OneをメインのDAWとして使ってきました。その理由は、直感的なワークフロー、強力なミキシング・マスタリング機能… etc ではなく単に最初に選んだDAWがStudio Oneだったからです。最初にStudio Oneを選んだのも値段が手ごろだったからです。しかし、音楽制作に詳しくなるにつれてより柔軟でクリエイティブな音作りを求めるようになり、最近Ableton LiveBitwig Studioへの乗り換えを検討しています。

本記事では、Studio Oneと比較しながら、Ableton LiveとBitwig Studioの特徴を掘り下げ、それぞれの強みや気になるポイントを整理していきます。もし、同じようにDAWの乗り換えを考えている方がいれば、参考になれば幸いです。

前提

  • Studio Oneユーザーから見た印象を語ります
  • もし誤解があればぜひコメントなどで教えてください

Studio One

Studio Oneは、直感的な操作性と高品質なミキシング・マスタリング環境を備えたDAWとして、多くの音楽制作者に愛用されています。特に、生録音やサンプルを活用した制作に強みを持ち、楽曲の仕上げまでシームレスに行えるのが特徴です。

1. Dolby Atmos対応 & 強力なマスタリング機能

Studio Oneは、Dolby Atmosに対応し、没入感のある3Dオーディオ制作が可能になりました。また、プロジェクトページでは、マスタリング作業を専用の環境で行うことができ、楽曲ごとのバランス調整や最終的な音圧管理をスムーズに行えます。

2. 使いやすいドラム音源「Impact XT」

Studio Oneには標準でImpact XTというドラムサンプラーが搭載されており、直感的な操作でリズムトラックを作成できます。Studio Oneのパターンと組み合わせて使うとかなり使いやすい印象です。

これについて詳しくは以下の記事でまとめています。

3. Spliceとの統合

Studio One7から追加された機能としてSplice統合があります。クラウドベースのサンプルサービスであるSpliceと統合されているため、膨大なライブラリからワンクリックでサンプルをロードできます。通常であればSpliceのアプリを立ち上げる必要がありますが、あたかもStudio One内部の機能であるかのように扱うことができます。ソング内のオーディオをドラッグ&ドロップすることで制作している曲に合うサンプルを自動的に探すことができたりもします。
また、Studio Oneユーザー限定のプランも用意されているようで、サンプルを利用したいだけの方(つまりプラグインのRent to Ownなどは必要でない方)などは通常のプランより安く利用できるようです。
これにより、制作のスピードが大幅に向上し、インスピレーションを得やすくなります。

4. トラック/チャンネルの分離

トラックとチャンネルが分かれているため、アレンジとミックスを明確に分けて作業できます。ただし、これが逆に「アレンジとミックスをシームレスに行いたい」ユーザーにとっては、やや煩雑に感じることもあります。

Studio Oneのルーティングについても以下の記事でまとめています。

Studio Oneの限界

Studio Oneは、録音やサンプルベースの制作を得意とする一方で、シンセやモジュレーション系の機能は他のDAWと比べて弱めです。例えばウェーブテーブルシンセなどは付属していません。また、モジュレーター機能などもないため音作りの幅が狭いような気がします。複雑な音作りをする場合、外部プラグインに頼ることが多くなります。そのため、電子音楽や実験的なサウンドデザインを重視する場合、Ableton LiveやBitwig Studioの方が適しているかもしれません。

こうした特性を踏まえた上で、「より柔軟な音作りをしたい」という思いが、私がAbleton LiveやBitwig Studioを検討するきっかけになりました。以下ではこれらのDAWの特徴について詳しく見ていきます。

Ableton Live

Ableton Liveは、その名の通りリアルタイム性に優れたDAWとして広く知られ、特にエレクトロニックミュージックやライブパフォーマンスに適した機能を備えています。直感的な操作性と豊富な拡張性により、「これ一つで何でもできる」という強みがあります。

1. 豊富な専用ハードウェアとの統合

Ableton Liveは、純正のMIDIコントローラーPushをはじめとする、多くの専用ハードウェアとシームレスに統合できます。最近では、モバイル型のAbleton Push Moveも発表され、ハードウェアとソフトウェアの連携がさらに強化されています。
また、NovationやAkaiなどのMIDIキーボード・パッドコントローラーとも相性が良く、リアルタイムでのパフォーマンスや即興演奏がしやすいのが特徴です。

2. Max for Live(M4L)による拡張性

Ableton Liveの最大の強みの一つが、Max for Live(M4L)の存在です。M4Lを使えば、自作のエフェクトやインストゥルメントを作成したり、既存のデバイスをカスタマイズしたりできます。さらに、コミュニティによる膨大なM4Lデバイスが共有されており、すぐに新しい機能を追加できるのも魅力です。Studio Oneユーザーから見ると便利なデバイスがちょっと調べると見つかるのはかなり羨ましいです。

3. ユーザー数の多さと豊富な学習リソース

Ableton Liveは世界中で多くのユーザーに使われており、チュートリアルやサンプルプロジェクト、プラグイン情報が豊富にあります。特にエレクトロニックミュージックの分野では、Liveを使ったプロデューサーが多く、同じ環境での学習や情報共有がしやすいのもポイントです。

4. 充実した音源

Ableton Liveは、デフォルトで豊富な音源を搭載しており、すぐに曲作りを始められます。例えばStudio Oneに付属していないウェーブテーブルシンセなどももちろん付属しています。また、サンプルについても最初から高品質なものが付属してくるのでAbleton Liveだけで音楽制作を完結させることも可能に見えます。

Bitwig Studio

Bitwig Studioは、モジュレーション機能の自由度が非常に高く、実験的な音作りやシンセサイザーを活用したサウンドデザインに優れたDAWです。特に、Ableton Liveと似たセッションビュー(クリップランチャー)を備えつつ、さらに高度なモジュレーション機能やThe Gridというモジュラー環境を搭載しているのが特徴です。

1. 自由度の高いモジュレーション機能

Bitwig Studioの最大の強みは、あらゆるパラメータにモジュレーションをかけられることです。例えば、LFOやエンベロープ、オーディオ信号などをほぼすべてのエフェクトやインストゥルメントのパラメータに適用可能です。これにより、サウンドデザインの可能性が大幅に広がります。

特に、サイドチェインをはじめとするダイナミックなエフェクト処理が柔軟で、Studio Oneのように「決まった方法でしかできない」という制限が少ないのが魅力です。

2. The Gridによる無限の音作り

Bitwig Studioには、モジュラーシンセ環境であるThe Gridが搭載されています。これは、モジュラーシンセのようにパッチングして音を作ることができるシステムで、エフェクトや音源を自作することも可能です。

The Gridは、Ableton LiveのMax for Live(M4L)と比較されることが多いですが、M4Lがプログラミング要素を含むのに対し、The Gridはビジュアル的にシンプルで直感的に扱えるのが大きな違いです。そのため、複雑なエフェクトやシンセを作りたいけれど、プログラミングには抵抗があるという人には特に向いています。

3. Ableton Liveよりも安価で、Studio Oneとの併用もしやすい

Bitwig Studioは、Ableton LiveのSuite版と比べると価格がやや安く、それでいて機能面ではLiveと競合できるほど充実しています。

また、Bitwigはdawprojectというファイル形式に対応しているため、Bitwigで制作した曲のプロジェクトファイルをStudio Oneで開くといったことも可能です。これによってStudio Oneで作成した素材をBitwigでさらに加工するといった併用もしやすいのが魅力です。

4. Bitwig専用ハードウェアは存在しないが、柔軟なコントロールが可能

Ableton LiveにはPushシリーズのような専用コントローラーがありますが、Bitwig Studioには専用ハードウェアは存在しません。(たぶん、少なくともLiveより少ないのは間違いない)
しかし、Bitwigは汎用的なMIDIコントローラーとの連携が柔軟で、例えばLaunchpadやMIDI Fighter、MPE対応キーボード(Roli Seaboardなど)と組み合わせることで、独自のコントロール環境を作ることができます。また、モジュラーシンセとの相性も良いらしいです。

まとめ:どのDAWを選ぶべきか?

今回の比較から、それぞれのDAWの強みがはっきりしました。

Studio One → ミキシング・マスタリング重視、生楽器録音やサンプル主体の制作向け
Ableton Live → ユーザーの多さとPush, Moveを中心としたAbletonエコシステム、M4Lを活用した高度な拡張性が魅力
Bitwig Studio → モジュレーションを多用した音作り、The Gridによるシンセ構築、自由度の高さ

個人的にはBitwigの自由度に惹かれているのでセール時に買おうかなあと思っています。結構本気で悩んでいるのでいやAbleton Liveが良いぞ!などご意見があればぜひコメントにお願いします。

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