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コンパクトなMIDIキーボードがほしいなと思ったので、購入する際に考えたことをまとめておきます。同じように購入を検討している人の参考になれば幸いです。
前提
まず、買う際の前提について説明します。
予算
1万円台までなら出せる。
鍵盤数
25鍵~37鍵くらい。
これはそもそもなぜ私がコンパクトなMIDIキーボードを購入しようと思ったのかに大きく関わってきます。
まず私は普段ノートPCで作曲しているため、デスクの半分程度のスペースをPCが占領しています。また、MIDIキーボードとして現在はM-Audio Keystation49 mk3を使用しているのですが、これは名前の通り49鍵のため、デスクのスペースをかなり取ってしまっています。これにはPCの配置を変える必要があり、これが原因でDTMに取り掛かるモチベーションが湧きにくいというのが最大の問題です。そこで、もっと気軽にDTMに取り掛かれる環境を整えるためにコンパクトなMIDIキーボードを購入しようと思ったというわけです。
使用目的
主に軽くシンセの音を確認したり、ノブやフェーダーを使って音作りをしたりと気軽にDTMをしたいときに使用するつもりです。
上でも述べた通り現在はM-Audio Keystation49 mk3を使っているのですが、これにはノブはついておらず、フェーダーも1つだけしかついていません。なので、できればノブやフェーダーを多く備えたものを使ってみたいなという気持ちがあります。ただ、DAWコントロールはPCのキーボードショートカットを使えば十分素早くできるので、あまり重視しません。特に、今回はミニキーボードなので、PCのキーボードと並べてそこまで場所を取らないと思います。
使用DAW
Studio Oneを使用しています。
以下ではYouTuberによる解説動画やメーカーサイトの記述などを参考に情報をまとめます。かなりボリュームがあるので、各キーボードの特徴を見るのが面倒な方は各キーボードがどんな人におすすめなのかを述べているのでこちらをご覧ください。
候補
ここでは買うときに検討した候補についてそれぞれ特徴などをまとめます。価格はサウンドハウスでの2024年9月6日におけるものです。当然時期やどこで買うかによって変動します。
Arturia MiniLab 3
基本情報
鍵盤数:25鍵
重量:1.35kg
サイズ:35.5cm x 22cm x 5cm(順に横幅、縦幅、高さ)
ノブ、フェーダー、パッド:ノブ×8、フェーダー×5、パッド×8
価格:15,800円
その他にはDAWコントロール(再生、停止、録音など)が可能だったり、小さいですがディスプレイを備えています。また、アルペジエーターやコードモードも搭載しています。
良い点
- Analog Lab Introが付いてくる、連携も〇
Analog Lab IntroはArturiaの音源の欲しいところだけをつまみ食いしたようなものです。私は上位グレードのAnalog Lab Proをすでに持っているのですが、Introでも500のプリセットを備えているので、十分に使えると思います。
また、音源が付いてくるだけでなく、MiniLab 3とは強力に連携しているので、面倒な設定などをすることなく、ノブで音色を変えたりすることが簡単に可能です。
Analog Lab Proもレビューしているのでこちらも良ければどうぞ
- 鍵盤の弾き心地が良い
他のコンパクトなMIDIキーボードでは鍵盤の弾き心地が良くないものもあるようですが、私がYouTubeなどで様々なレビューを見た限りでは弾き心地は良いとレビューしている方が多かったです。
- ツマミで操作しているパラメータがディスプレイに表示される
操作しているパラメータとその数値がMIDIキーボードのディスプレイから確認できるので、いちいちパソコンのモニターを見なくて済みます。ですが、ライブ演奏でなく、音楽制作という観点で見ればパソコンのモニターを見るのもそこまで手間ではないので、個人的にはあまり必要ない気がします。
- デザインが良い(主観)
完全に主観ですが、デザインがとても上品で魅力的に映ります。珍しく白を基調としたモデルもあるので、インテリアとしても楽しめそうです。これはArturia製品全体に言えることかもしれません。
悪い点
- パッドのノートリピートがない(アルペジオで代用可)
ハイハットなどを手軽に打ち込むときに便利なノートリピートの機能がパッドにありません。ですが、アルペジエイターを使えば、鍵盤の方でハイハットなどを打ち込むことができます。
- パッドが1列
この後紹介するAKAI MPK mini MK3などは同じ8つのパッドでも4×2列の配置になっています。一方こちらは全てのパッドが1列に配置されているので、フィンガードラムをする際にはやりづらさがありそうです。
- Studio Oneは専用のDAWコントロールが用意されていない
主要DAWについてはコントロールのための専用の割り当てデータがあってそれをダウンロードすることでより簡単にDAWコントロールを実現できるのですが、Studio Oneについては用意されていません。MCUについては対応しているので、Studio OneでもDAWコントロールは問題なくできるのですが、Ableton Liveのような深いインテグレーションは無理そうです。
(追記)結局これを買うことにしたので、詳しいレビュー・感想記事を書きました!
AKAI MPK mini MK3
基本情報
鍵盤数:25鍵
重量:0.75kg
サイズ:31.8cm x 18.1cm x 4.4cm(順に横幅、縦幅、高さ)
ノブ、フェーダー、パッド:ノブ×8、パッド×8
価格:13,400円
他にはノートリピートやアルペジエーター機能、小さなディスプレイが付いています。
良い点
- 価格が安い
今回挙げているノブやフェーダーが多くついているミニキーボードの中では数千円ほどではありますが、安いです。
- パッドが比較的大きい
先に挙げたArturia MiniLab 3よりもパッドが大きく、フィンガードラムがやりやすそうです。
- 軽くて小さい
0.75kgと今回紹介する中では最も軽いです。また、サイズもMiniLab 3より一回りほど小さいです。なので持ち運びには最適だと思います。
- MPC BeatsというAKAIのDAWと良く連携している
AKAIが出しているMPC BeatsというDAWとの連携が良く、DAWを持っていないという初心者でもこのキーボードを買えばとりあえず音楽制作を始められます。
悪い点
- 作りが安っぽい
主観的な意見にはなりますが、どうしても見た目がおもちゃっぽく見えます。また、ボタンを押す際にカチッという音が鳴るのもチープな印象を与える原因になっています。それに比べてMiniLab 3はボタンを押しても音が出ません。
- フェーダーがない
プラグインのパラメータを変化させるのに使えるフェーダーがありません。ピッチシフトとモジュレーションを同時に操作できるスティックがありますが、これが合うかは人によりそうです。
- Studio Oneは専用のDAWコントロールが用意されていない
こちらはMiniLab 3と同じです。ただ、私はDAWのコントロールはあまり重視しないので、特に悪いとは感じません。
M-Audio Oxygen Pro Mini
基本情報
鍵盤数:32鍵
重量:1.2kg
サイズ:40.1cm x 19.1cm x 6.5cm(順に横幅、縦幅、高さ)
ノブ、フェーダー、パッド:ノブ×4、フェーダー×4、パッド×8
価格:14,800円
他にはノートリピートやコードモード、アルペジエーター、小さなディスプレイが付いています。
良い点
- 32鍵
25鍵だと微妙に鍵盤数が足りない場面がある人もいると思うので、そのような人には32鍵はちょうど良さそうです。(追記 ※実際25鍵は使っていてもうちょっと鍵盤があればなあと思うことが割とあります。)
- DAWコントロール機能が豊富
再生開始、停止、録音開始、ループのオンオフ、カーソルの移動など一通りのことができてしまいます。特にカーソルの移動までできてしまうので、PCのキーボードやマウスに触れる機会が大幅に減りそうです。
- Studio One用のDAWコントロールがプリセットとして用意されている
Oxygen Pro MiniはStudio One専用のDAWコントロールモードが用意されています。
悪い点
- ごちゃついたレイアウト
とにかくボタンやフェーダー、ノブが至る所に配置されているので、余白がなく、窮屈なデザインになっています。人によると思いますが、個人的には使っていてテンションが上がる見た目ではないと感じます。
- ボタンの押し心地、質感
私がすでに所有しているKeystation49 mk3もそうなので、M-Audioに共通する点かと思いますが、ボタンを押したときにカチッと音がします。それ自体はまあ良いのですが、ボタンの質感もチープな印象なので気になる人はいると思います。
Native Instruments KOMPLETE KONTROL M32
基本情報
鍵盤数:32鍵
重量:1.45kg
サイズ:47.5cm x 16.7cm x 5cm(順に横幅、縦幅、高さ)
ノブ、フェーダー、パッド:ノブ×8
価格:15,800円
他にはDAWコントロール機能や小さなディスプレイが付いています。
良い点
- 32鍵
先ほどのOxygen Pro Miniと同じです。
- シンプルなデザイン
M-Audio Oxygen Pro Miniとは対照的にシンプルなデザインで、使っていてテンションが上がりそうです。ただ、これはパッドがなかったり、フェーダーがなかったりという悪い点と表裏一体です。
- NKS対応ソフトウェアとの連携
NKSというNative Instrumentsの規格に沿っているプラグインならパラメータが自動的にノブにアサインされるので、MIDIキーボードから音作りをするのがとても楽です。NKSはNative Instrumentsだけでなく、Arturiaを代表として様々なメーカーが採用しているので、NKS対応のプラグインを良く使う方はその恩恵を受けられると思います。
- DAWコントロールが豊富
トラックを選択できたり、音量を変化できたり、再生停止をMIDIキーボードから操作できたりとDAWコントロールが豊富です。
悪い点
- アルペジエーターがない
正確に言うとアルペジエーターの機能はソフトウェア側(Komplete Kontrol側)で制御するようです。なので、NKSに対応していないソフトを使う際にはアルペジエーターの機能は使えないということになります。
- パッドがない
フィンガードラムなどは鍵盤でもできるとは言え、パッドが欲しい人にはマイナスポイントです。
- DAWコントロールがStudio Oneに対応していない
例によってStudio Oneには対応していません。Studio Oneが思ったよりないがしろにされているのが今回調べて一番驚いたことです(笑)頼むから対応してくれ…
比較
私の独断と偏見で評価項目を作って表にまとめてみました。
価格 | 持ち運びやすさ | DAWコントロール(Studio One) | ソフトとの連携 | デザイン、質感 | パッド | |
MiniLab 3 | △ | △ | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
MPK mini MK3 | 〇 | 〇 | △ | × | × | 〇 |
Oxygen Pro Mini | △ | △ | ◎ | × | × | △ |
KOMPLETE KONTROL M32 | △ | △ | 〇 | ◎ | 〇 | × |
もちろん実際に使ったことのない製品ばかりなので何とも言えませんが、これを基にそれぞれのキーボードがどんな人におすすめなのかを紹介してこの記事を締めくくりたいと思います。
MiniLab 3がおすすめな人
- おしゃれなデザインのものを使ってテンションを上げたい人(特に白い機材を使いたい人)
- Analog Lab(その他Arturiaのソフト音源)を積極的に制作に活用する人
MPK mini MK3がおすすめな人
- MIDIキーボードを持ち運んで外で作業する人
- 制作でフィンガードラムをする人
Oxygen Pro Miniがおすすめな人
- 機能が多いものを使いたい人
- 25鍵だと足りなくなりそうな人
- Studio Oneを使っていて、DAWコントロールをMIDIキーボードで行いたい人
KOMPLETE KONTROL M32がおすすめな人
- NKS対応ソフトを制作に多く使用する人
- 25鍵だと足りなくなりそうな人
- スタイリッシュなデザインが好みの人
以上です。同じように悩んでいる人に合うキーボードが見つかれば幸いです!
まとめ
今回挙げたキーボードだけでも種類によってかなり特徴が違って調べていて楽しかったです。もしこの記事で取り上げていないキーボードでおすすめがあればぜひ教えてください。
私はMiniLab 3を購入することにしました。やはり他にない白基調のデザインが制作時のテンションを上げてくれそうだったのが大きな理由です。またしばらく使って慣れればそちらのレビューも行う予定です。Keystation49 mk3と今回購入したMiniLab 3を上手く使い分けてこれからも制作を続けていきたいと思います。
購入したMiniLab 3のレビューはこちら
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