Arturia Pigments 6レビュー|クラシックとモダンを折衷した優等生的シンセ

音源・プラグイン

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この記事ではArturiaから出ているソフトシンセPigmentsのレビューをしていきます。数少ない私の記事の読者の方はもしかしたら知っているかもしれませんが、Arturiaは私にとってお気に入りのメーカーのうちの1つです。PigmentsはそんなArturia製品に共通した「上品さ」を備えた扱いやすいソフトシンセです。ここから先では実際に使ってみて感じたその魅力について存分に語っていきたいと思います。

また、このサイトではこれまでにもMIDIキーボードのMiniLab 3やArturiaの音源の良いとこどりのような存在のAnalog Lab Proをレビューしてきましたので興味がある方はそちらもご覧ください。

どんな音源?

上でも述べたようにPigmentsにはArturiaの他の製品と同じように「上品さ」を感じます。それはUIやプリセットの音色などに感じ取ることができます。

見た目で言うと黒と白の2つのスキンが用意されています。こういうソフトシンセは大体黒っぽい見た目が多い印象なのですがArturiaらしい白っぽい見た目で作業できるのはテンションが上がりますね。よく見るとノブにも影が付いていて高級感があります。

また、音作りする際に重要になるモジュレーションの視認性についてもばっちりです。

アニメーションが付いていて視覚的に分かりやすい

音についてはプリセットを聞いてみましょう。後ほど他のプリセットも聞きますがここでは上品さが感じられるものを1つ。

機能についても申し分なく、オシレーターが3つ(うち1つはノイズやサブベース用)あってWavetable, Sample, Analog, Harmonic, Modalの5種類から好きなものを選べます。Sampleはグラニュラーの機能もついていますし、AnalogではFM合成ができ、Harmonicでは加算合成ができるので新しいものから古いものまで大体のシンセの方式は使えるといってよいでしょう。また、Pigments 6で追加されたModalエンジンは物理モデリングを搭載しているようです。(Modo Bassのような感じ)
また、エフェクトも高品質なものが19(Pigments 6でVocoderが追加)種類あり、それぞれにプリセットもあるので簡単に音作りができます。そして、最後にシーケンサー・アルペジエーターも付いているのでPigmentsだけで音を作ってフレーズを作るところまでできてしまいます。

大まかな使い方

Pigmentsには販売開始から多くのアップデートを経て多くの機能が搭載されています。なのでここでその全てを紹介していると退屈だと思うのでここでは大まかにどのような機能が提供されているのか、それらをどのように使うのかについて紹介します。

PigmentsはPlay, Synth, FX, Seqの4つのタブに分かれています。それぞれについて大まかに説明します。

右上をタブを切り替えられる
  • Playタブ

Playタブはその名の通り演奏するときのためのタブでここでは各セクションの代表的なパラメータを編集することができます。

本格的な音作りはSynthタブとFXタブで行います。画面の上半分でオシレーターとフィルターとエフェクトを、下半分でモジュレーションを設定することができます。

  • Synthタブ

エフェクト以外の音作りをすることができます。オシレーター部分では先ほど述べた4種類のエンジンから2つ+Utility(ノイズとサブオシレーター)の計3種類を組み合わせて音作りができます。フィルター部分にはよくあるローパスフィルターなどに加えてアナログシンセをエミュレートしたフィルターが搭載されています。

  • FXタブ

FX AとFX Bの2系統とセンド・リターンの3種類の方法でエフェクトをかけることができます。

  • Seqタブ

シーケンサーとアルペジエーターが搭載されています。ランダマイズもできるのでアイデア出しにも使うことができます。

それ以外のところで言うとプリセットのブラウザはAnalog Labと全く同じでジャンル分けがしっかりされているので探しやすいです。現在のプリセットに近いプリセットを提案してくれる機能もあります。また、英語ですがチュートリアルがついているので少し分からないことがあるときなどはすぐに開いて確認できます。

どんな音が出る?

ここまではPigmentsの概観を説明してきました。ですが結局どんな音が出るの?というのが気になると思います。ということで以下ではプリセットの音を聞いていただきます。

浮遊感のあるPadサウンド。

不思議な雰囲気のフレーズ。Pigments内のSequencerを使えば指一本で鳴らせます。

こちらは空気感のある木琴のような音。

ここまではいかにも雰囲気のある感じでPigmentsの本領発揮といった感じですが、もちろんこのような音しか作れないわけではありません。

少し温かみのあるLead。

bassサウンドも作れます。こちらもフレーズはPigments内のSequencerで生成されたものです。

気に入った点

正直かなり気に入っているので気に入った点もかなり多くなります。1つずつ説明していきます。

  • おしゃれ+分かりやすい+使いやすいUI

まず、スキンを黒と白で変更できることと波形やモジュレーションのグラフィックがかわいいという点は純粋な見た目として気に入っている部分です。

Arturiaといえばこれという感じの白色

次にカーソルを合わせると下の方に使い方が出てくることと、英語ですがチュートリアルが付いていることによって分からない部分があったときにいちいち別でマニュアルを開く必要がないのでとても便利です。チュートリアルの方は設定を上書きしてしまうので注意が必要ですが。

また、あまりないですがとても便利な機能としてUndo, Redo機能があります。間違えて設定をいじってしまったときなどに手軽に戻せるのは安心です。

  • 手軽に意図しない面白い音が作れる

まず、他のソフトシンセでは搭載されていないことも多いグラニュラーエンジンを搭載しているのでとりあえずサンプルを読み込んでグラニュラーでいじってみることができます。
また、他のシンセにあるのかは分かりませんが、Combinatorというモジュレーションで複数の波形を足したり、引いたり、掛けたり、割ったりして作った新しい波形でモジュレーションを行うことができます。適当に波形を組み合わせてやってみると思いもよらないモジュレーションが得られるかもしれません。

エフェクトについては各エフェクトにプリセットが用意されているのでとりあえずプリセットを選んで良い感じにすることができるのが気に入りました。また、シーケンサーのランダマイズ機能を使うとフレーズまで気軽に作ることができます。

まとめると程良い偶然性手軽さが各セクションに組み込まれているので自分の意図していなかった良い音と出会うことができるのが面白いと思いました。

  • 雰囲気のあるプリセットが多く、勉強にもなる

Pigmentsには多くのプリセットが付属するのですが、神秘的というか幻想的なものが多くてこういうサウンドが大好きな私としては音作りの参考になるし曲にも使いやすいしで最高です。

  • 無料アップデートに期待が持てる

これはおまけのようなものですが、少なくともバージョン6までは無料でアップデートできているので今後のアップデートも楽しみにしています。私はバージョン5で買って最近バージョン6のアップデートが来たのでテンションが高いです。

微妙だった点

  • 最初はルーティングが若干分かりにくい

やれることが多い弊害としてVitalに慣れていた私としてはどこに何があるのかが最初はややこしかったです。ただ一度腰を据えて使い方を覚えれば後は快適に使えます。

  • サードパーティ製のプリセットは充実していない

SerumやCurrentなどと比べるとサードパーティ製も含めたプリセットは充実していないです。とは言え最初から1000種類以上の高品質なプリセットが付いてくるので足りないということはないでしょう。

  • 音作りのチュートリアルが少ない

YouTubeなどで音作りを調べたりしてもなかなかPigmentsを使っている動画はないです。というかほとんどSerumです。ただ、Serumでできることはおそらく大体Pigmentsでもできると思うのでSerumのチュートリアルでやっていることをPigmentsで真似すればあまり困ることはないかな?と思います。

こんな人におすすめ

  • 分かりやすく音作りができるシンセが欲しい人
  • 安く良いシンセを買いたい人

既にSerumなどを持っている人は買う必要がないかなと思いますが、まだ持っていない方は買って損をすることはないと思います。

買い方

大体セール時に半額になるのでそのタイミングがおすすめです。

まとめ

今回はArturiaのPigmentsをレビューしました。軽くて使いやすくて機能が豊富とあって個人的には大満足なのでこれからさらに音作りと曲作りに使っていきたい音源ですね。

もしこの機能が気になる!などありましたらコメントで教えてください。できるだけフォローするつもりです。

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